作家志望の青年北尾は、今日も朝早くから霞ヶ関裁判所へとやって来た。
「ご起立ください」の声、手錠の音と共に裁判官、被告、警察官が登場すると、北尾の胸は期待に高鳴る。今日はどんなグッとくる裁判に出会えるのだろう?
最初はモノ書きのネタを探しに来た北尾だが、苦しい言い逃れをする被告や、巧妙に弁護する弁護人、ドSに攻める検察官、法廷に登場する人物が見せる、どうしようもない人間臭さに惹かれて、すっかり傍聴にハマってしまったのだ。
だがそんな北尾に、いつも傍聴席で見かけるツンとした女子大生日向は 「覗き見気分で傍聴に来ないでください」と冷たく言い放つ。
覗き見気分で何が悪い?
傍聴の楽しさとは他人の人生の覗き見だ!思わずそう 反論してしまった北尾は、しかしある公判を境に、裁判への考えがガラッと変わり...。
興味本位で始まった裁判傍聴の先に見えてきたものとは?
この作品は舞台上と客席の傍聴人全員が共有する疑似裁判体験である!